昨年、半月板損傷と変形性膝関節症の関係について書きましたが、「もう少しくわしく知りたい」とのご意見が多く寄せられましたので、今回はスポーツから離れてこのお話をします。

変形性膝関節症

 歳をとればどなたでも軟骨は減ってきます。若い年齢で痛みの出る人はそれだけ膝に負担がかかっていた証拠です。スポーツ・肥満・正座が多い・筋力が弱いなど原因は様々です。
 症状は立ち上がりや歩き始めに痛みを感じ、動くと痛みは軽くなります。階段歩行もつらい事が多いでしょう。その他には膝の腫れ、O脚変形があります。炎症が強い時は関節に水(関節液)が貯まることがあります。進行すると膝が伸びなくなります。

レントゲン写真診断はレントゲンですぐにわかります。軟骨が減ることによって大腿骨(もも)と脛骨(すね)の間が狭くなったり、骨がとげのように出てくる骨棘(こつきょく)があったり、骨が萎縮してきます。
 治療は飲み薬や湿布、リハビリ(温熱療法、低周波)などがありますが、ヒアルロン酸の注射は非常に効果的です。膝に水が貯まった方は抜くことをおすすめします。一般に「水は抜くとクセになるから抜かない方がいい」と言われていますが、これは大きな間違いです。貯まった水の中には、軟骨を破壊する物質があるため、貯まった水は可能な限り抜いた方が良いのです。炎症の強い時期は抜いた後2〜3日でまたすぐ貯まることはよくあります。それで「クセになるから抜かない方がいい」と言われるようになったのでしょうか?
 その他にも運動療法で筋力をつけたり、ダイエットをしたり、足底板(インソール)を作ったり、グルコサミンを飲んだり、その人に合った治療法を選択していけば良いと思います。進行して歩くのが困難だったり、日常生活にも支障が出るようなら手術をした方がいいでしょう。
「私は歳だから手術はもういい」とおっしゃる方が多いのですが、これは若い人には起こらない病気で高齢者に起こります。麻酔、手術は昔に比べかなり危険は少なくなっています。この手術は、比較的元気な時に将来を見据えて行うものです。どなたでも手術は恐いと思いますが、長寿・高齢化社会になって来ていま
すので決断する時期を逃さないことが重要です。