ジャンプの着地の時に足首をねじり捻挫をしましたが、この時ブチッと音がしました。どうしたらいいか教えて下さい。(中2女子、バレー部)

内がえし捻挫(足関節捻挫)

いわゆる足関節捻挫という状態ですが、ただ捻っただけから靭帯損傷までいろいろあります。また内がえし捻挫(内反捻挫)と外がえし捻挫(外反捻挫)がありますが、ほとんどが内反捻挫なので今日はこの事についてお話しましょう。
レントゲン写真 足関節捻挫は最も頻度の高いスポーツ外傷の一つです。読者の皆様も一度は経験した方がいらっしゃるでしょう。足関節の外側には前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯という3本の靭帯があります。内反捻挫はその靭帯の損傷の程度によって軽症、中等症、重症に分けられます。診断は診察で前方引き出しテスト、内反ストレステストを行い靭帯のゆるさを調べます。またレントゲン検査で剥離骨折がないかを確認します。当院ではほぼ全員にストレス撮影も行い、距骨傾斜角というものを測定し損傷の程度を診断しています。
 軽症は靭帯が損傷していないもので、靭帯のゆるさはなく距骨傾斜角も正常の°5以内です。中等症では前方引き出しテストが陽性になり、前距腓靭帯の断裂を認めます。重症では前方引き出しテストと内反ストレステストが共に陽性になり、距骨傾斜角は°5以上になり、前距腓靭帯と踵腓靭帯の断裂を認めます。
 初期治療として、(全てのケガに共通することですが)、RICEという言葉を覚えておいて下さい。それぞれの頭文字を取って、Rはrest(安静。ケガをした場所を動かさないこと)、Iはicing(冷却。で氷や水等で冷やすこと)、Cはcompression(圧迫。弾力包帯等で軽く圧迫すること)、Eはelevation(挙上で心臓より高くすること)です。このRICEをすることにより急性期の内出血と腫れを抑えることができます。注意として冷やし過ぎないようにすることと、圧迫がきついと感じたらゆるめることが重要です。
 治療は電気をかけたり飲み薬や湿布などは一般的に行われています。基本的には足をついて歩くのは構いません。固定に関してはギプス固定をする医療機関もありますが、日常生活の不便さや最近のテーピング素材の進歩を考え、当院ではテーピング固定を行っています。テーピングは損傷の時期や程度によって素材や方法を変えています。

当院で行っているテーピングは2種類を使い分けています。一つは強めの固定をする方法でもう一つはファンクショナルテーピングと言って足首の動きはそのままにして外側の補強をする方法です。
 強めの固定のためには従来のホワイトと呼ばれる伸縮しないテーピングを使用します(幅は38ルがお勧めです)。スターアップやホースシュー、ヒールロックにフィギャーエイトと言った古典的な方法ですが、ケガをした後には固定と圧迫を同時にできるのでとても有効です。軽症の方は腫れや痛みの程度によって、中等症・重症の方にはほとんどの場合にこのテーピングをします。ケガをした直後から行っても構いませんが、腫れる事を考え少しゆるめに巻いた方がいいでしょう。

 ホワイトのテーピングの基本的な巻き方をお教えします。しわのないように巻くといいでしょう。

テーピング

上記のホワイトを使ったテーピングは固定力は強いのですが、スポーツの種目によっては動きにくい方法です。次はファンクショナルテーピングと言って足首の動きはそのままにして外側の補強をする新しいテーピング方法です。比較的簡単なので上記のホワイトのテーピングより覚えやすいと思います。使用するテープは直に貼る伸縮するキネシオテープのようなものを使用します。当院ではアルケア社のエラテックスというテープを使用しています。幅は5cmのものがいいでしょう。

テーピング