陸上をやっていますが走るとアキレス腱が痛み、しこりが触れます。どうしたらいいでしょうか?(中2男子)

アキレス腱の痛み(アキレス腱周囲炎)

アキレス腱は身体の中で一番大きな腱です。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)が一緒になってかかとの骨に付きます。このアキレス腱の痛みの原因は色々ありますが、この方の場合アキレス腱周囲炎が考えられますので今回はこのお話をします。
 アキレス腱周囲炎というのはパラテノンという腱を包んでいる膜の炎症です。原因として急激な運動量の増加や練習方法の変更が引き金になることが多いです。4月になり入学して今までと違う運動を始める時期に出る事が多いです。スポーツの種目としては長距離ランナーが圧倒的に多く、その他は陸上競技、サッカー、バスケットボールに見られます。
 
写真症状はアキレス腱の腫れ、圧痛(押しての痛み)、つま先立ちやストレッチの時の痛み、足首を動かした時にギシギシ音がする事があります。硬いしこりが触れる事もあります。
 急に起こった場合は2週間、慢性的に痛い場合は6週間の休養が必要です。この場合走ったり飛んだりしないということで、上半身やいい方の足のトレーニングは続けていても大丈夫です。治療は湿布や低周波(電気)が一般的に行われていますが、当院では慢性的な方は、かかとを5cm程高くしたインソール(足底板)を作っています。これは治療だけでなく、治った後の再発の予防にもなります。また国家資格を持った理学療法士が、ストレッチやカーフライズなど各個人の状態に合わせたプランを作って、運動療法を行ってもいます。それでも治らない方はやはり手術が必要になります。手術はパラテノンを全部取ってしまいます。術後1カ月でジョギングは開始でき、3カ月で完全に復帰できます。写真は元柏レイソル(現サンフレッチェ広島)のサンパイオ選手のアキレス腱です。日本に来る前に両側の手術をしています。今は全く痛みがなくプレーしています。
 術後の痛みの取れ方はとても良いのですが、写真でもお分かりになるように傷が大きいのがこの手術の欠点と思われます。