サッカーの試合中にヘディングを競った時に肩から落ちて鎖骨を骨折しました。鎖骨骨折について教えて下さい。(高校1年、男子)

頻度の高い骨折(鎖骨骨折)

鎖骨骨折はスポーツ障害と言うより、スポーツ外傷になります。スポーツ外傷とは、1回の怪我で起こることを言います。
レントゲン写真 鎖骨骨折は全骨折の10〜15%と言われとても頻度の高い骨折です。この方のように肩から落ちたり、手をついて倒れて折れる場合(介達外力)と鎖骨を直接ぶつけて折れる場合(直達外力)の2つの原因で起こります。多くの場合この方と同じような介達外力です。種目としてはラグビー、サッカー、競輪(自転車競技)に多くみられます。
 治療は保存的な治療が原則です。ほとんどの場合手術をしないでバンド等の固定だけで治ります。バンドをする時は痛くても胸をしっかり張ることが大事です。プロの競輪選手は早期復帰をするために手術を希望される方が多いのですが、一般の方は大きくずれている場合や、鎖骨の下の神経や血管を圧迫している場合に手術が必要となります。
 怪我をして4〜5カ月で完全復帰は可能ですが、種目によってかなり違います。サッカー、ラグビーのようなコンタクトスポーツは多少長めになりますし、ジョグ等の軽いものならば3〜4週間で始めても構いません。ラグビーでの再骨折率は約20%ととても高いので注意が必要です。骨のつく時間は個人でかなり差があるので、レントゲンを撮りながら判断していきます。サッカーもポジションによって当たり方が違うのでディフェンスでしたら5〜6カ月はかかるでしょう、フォワードであれば自分の感覚で動けるので4〜5カ月で復帰できるでしょう。
 鎖骨骨折は骨折部に変形を残すことが多いのですが、機能障害を残すことはほとんど無くくっつきます。ですから競輪選手は落車した時に肩から落ちるように指導されます。手をついて落車すると手首や肘を骨折し時に選手生命を奪われこともあるので、肩から落ちて鎖骨を折るようにするのです。
 以上のように一般的な外傷ですからあまり神経質にならなくても大丈夫です。